第8回 医療講演会を開催しました

第8回 医療講演会 「あきらめたらだめだ!神経筋難病とは!?治療と研究の動き」を10月21日(日)に北九州市総合保健福祉センターで開催し、午前は個別医療相談、午後は医療講演のスケジュールで行いました。当会顧問である国立病院機構八雲病院 石川悠加 先生と熊本大学付属病院 小児在宅医療支援センター 小篠史郎 先生に出席いただき個別医療相談、医療講演に協力いただきました。そして、新たに産業医科大学病院神経内科 教授 足立弘明 先生と京都大学iPS細胞研究所 特定拠点講師 堀田秋津 先生に協力いただき、午後の医療講演で講演いただきました。

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個別医療相談は、同センター内にある北九州市難病相談支援センターで、患者さんや病気の疑いを感じている方々の日常生活やリハビリテーションなどの相談に、石川先生と小篠先生が応じました。ご相談者は先天性ミオパチーに限らず、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋力低下を感じていて日常生活に支障があるという方からの申込もありました。今回の会でも出席いただく予定でした国立精神・神経医療研究センター病院 埜中征哉 先生は体調不良により欠席となりました。

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医療講演は、今回のテーマは神経筋難病とは!?治療と研究の動きになりますが、小篠先生を座長に、足立先生や石川先生、堀田先生に講演いただきました。まず、代表伊藤から開会挨拶と、先天性ミオパチーに対する患者の取り組みとして、自身で行っている呼吸ケアや治療法開発のために患者さん協力いただいている患者登録の現状など報告がありました。

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足立先生からは、今までは診断はしますがなかなか治療ができないことが多かった神経筋疾患に対して様々な治療法が見つかってきている現状など最近の話題について講演いただきました。その中では、ALSやパーキンソン病などの病気の解説やPLS(原発性側索硬化症)の落水洋介さんの紹介、足立先生による世界初の球脊髄性筋委縮症(SBMA)の病態抑止療法開発の経緯、医師・研究者を育てるなどの患者会の役割、また、脳・神経・筋肉の患者さんを診るのは脳神経内科ですが筋肉も診ていることをアピールできる「脳神経筋科」という診療科名のお考えなどのお話もありました。

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石川先生からは、神経筋難病等で呼吸が弱くなってきて、息が十分に吸えない、吐けない、そして咳が弱い患者さんに対する呼吸リハビリテーションについて欧米やアジアの取り組みを例に講演いただきました。とくに欧米では、在宅人工呼吸のガイドラインが発表され、NPPV(鼻マスク人工呼吸器)とMI-E(排痰補助装置)による気管切開を避ける技術や研究が進んでいるということです。小児も成人も気管切開の前に、あらゆるNPPVの選択肢を使い尽して頂きたいとお話がありました。映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の原作では、現在の八雲病院やNPPVの解説が取り上げられています。

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堀田先生からは、生命の設計図であるDNAやゲノム、遺伝子の解説からゲノム手術と言われる30億文字ある中から異常な遺伝子を切断することができるゲノム技術について講演いただきました。このゲノム技術にはCRISPR Cas9というDNAをカットする機能を持ち、これを応用して、まず研究している先天性ミオパチーにも類似するディシェンヌ型や三好型の筋ジストロフィーの研究報告がありました。iPS細胞の段階でのゲノム技術の活用や患者さんの体に直接ゲノム技術を仕込むことで遺伝子が回復される可能性についてもお話がありました。

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神経筋難病で呼吸や咳する力が低下してきた時に使われるNPPVやMI-Eだったり、肘を曲げて口元や頭部に手を近づけるような動作を可能とする上肢支援装具、また、移乗介助のような介助動作において腰部にかかる負荷を低減することができる介護支援ロボットの展示、体験も行い、医療・福祉・介護などに関する案内チラシを設置しました。

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座長の小篠先生の進行で質疑応答を行い、最後には閉会挨拶もいただきました。患者さんや医療関係者、特別支援学校の介助員、医療系学校の教育関係者など多くの方が参加くださいました。先天性ミオパチーに限らず、筋ジストロフィーやALSなど、患者さんやご家族の参加も嬉しく思います。ありがとうございました。開催にあたり、ご支援ご協力いただいた皆様に感謝いたします。
*この会では講師スライド資料の配布は行っておりません。[/vc_column_text]

>>第8回 医療講演会のお知らせ